こういった流通の問題が将来どうなっていくのかといえば、簡単である。小説は、音楽のようにネット配信になる。近い将来のことだろう。そうなると、極端な話、出版社も印刷会社も取次も書店も必要ではなくなる。古書店も図書館も成り立たない時代がすぐに来る。安泰なのは作家と読者だけだ。(3章 出版界の問題と将来 / 小説の流通の未来 より)



小説家という職業 (集英社新書)

森博嗣氏といえば、本をある程度読む人なら名前を知らないということはないでしょう。私自身はファンというほどではないですが、それでも何冊か目を通しています。

この本は、著者の小説家としての経験、出版社との関わり、あとはほんの少しの創作のアドバイス的なものが書かれていて、特にアドバイス的な部分は、創作の「こうあるべき」的ハウツー本とは真逆のことが書かれていいます。
私自身は、多くの情報から自分に合ったものを取り入れればいいと思っているので、参考になる面も多かったのですが、「こうあるべき」と与えられたものばかりを有り難がって自分で物事を判断できない方には難しいかも知れません。

その点以外にも、出版業界の体質的なものをかいま見せてくれて興味深く読めます。

先日、Impress QuickBooksの担当さんとお話しする機会があり、その中で、
「自分が今死んだら成り立たないものを、次の企画として残すわけにはいかない」的なことをおっしゃっておられたのが印象的でした。
確かにその通りで、
即ち、中の人間が流動的に入れ替わっても、形の成立するものを作り上げる仕組みを持たなければいけないのが出版社の役割で、
逆に、自分が死んだら代わりがないものを提供するのが、創作する者としての価値なんだなと思ったものです。

そう考えると、通り一遍のハウツー本で量産できる程度のものを作っているだけではだめで、そこから先の、ハウツー本には書けない点をどれだけ多く持つかが大事になってきそうですね。

siinaipqi