2018年01月09日

シャーロック・ホームズと賢者の石<五十嵐貴久/KAPPA NOVELS>

「そうしてほしいね。僕は他人の名付け親になったことがない。初めてのことなんだよ」ホームズが少年と握手した。《賢者の石 ――引退後の真実 より》


シャーロック・ホームズと賢者の石/五十嵐貴久


いやね、最初はこっちを探してたんですけど。


シャーロック・ホームズの栄冠/創元推理文庫


買い物ついでに立ち寄った書店で見あたらなくてですねぇ。新刊なのになんてこった。
失意の中で偶然見つけたのが、この「賢者の石」だったんです。 いやもう、タイトルからして読まずにいられないですよね。
あ、大丈夫です、「~の栄冠」も別の書店で確保したので、今回は両方を踏まえてのレビュー的なものです。


「~の栄冠」の冒頭の解説によると、原作者であるドイルが書いたもの“以外”のホームズ作品には、二通りの呼ばれ方があるそうです。
ひとつは、文字通りパロディ。もうひとつは、パスティーシュ。
ドイルの筆致をまねて原作に寄せた雰囲気に書かれているものを、パスティーシュと呼ぶのだそうです。
シャーロキアンと名乗るのにはおこまがしいですが、それなりにシャーロック・ホームズ好きで、シリーズは多分全部持ってるんですけど、恥ずかしながらこのパスティーシュという言葉は初めて知りました。


「~栄冠」は、パロディとパスティーシュを織り交ぜた、コレクション性の高いものになっています。著者は複数。書かれた時代も様々です。翻訳されないとなかなか判らないのですが、こんな洒落たことを昔からやってたんですね。
原典では名前だけ出てくる「語られざる事件」があり、それを扱った「疲労した船長の事件」はほんとにそれっぽい。
モリアーティ教授の扱いもいろいろあって、「小惑星の力学」はにやりとさせられました。


一方で「~賢者の石」。こちらは五十嵐氏が一人で書かれています。
一作目の「彼が死んだ理由」は、シャーロックシリーズはバディものと思っている私から見たらちょっと首を傾げてしまう結末でしたが、ほかの作品はほんと素晴らしい。
著者が日本人なので、「~栄冠」の収録作よりも、より親しみのある人物が各話に登場します。
「賢者の石」といわれると、ついハリー・ポッターを連想してしまいますが、これ、初版が2007年なのです。ハリポタ以前の、もっと知名度の高い人が出てきます。最後で声出たわ。


より娯楽色が強いのは「~賢者の石」ですが、どちらも、シャーロック・ホームズ愛にあふれた名本です。自信を持ってお薦めします。


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chikakk at 19:46│Comments(0)KAPPA NOVEKS | 小説

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河東ちか
かわひがしちか @chikakwh

ついったー

小説家を名乗るおとなのおねーさん。 身近な職業ラノベとハイファンタジーを主に生産。
姿を変えてアストルティアにも出没中。ヒューザ推し
新刊買ってね

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